市内での実践事例を紹介する、第4弾(NO.4)です
ヨコ寄付では、地域共生社会の実現に向けた実践事例をご紹介しています。
これまでの紹介事例はこちらをご覧ください。
第1弾(NO.1) 第2弾(NO.2) 第3弾(NO.3)
第4弾は、地域活動ホーム ガッツ・びーと西(以下、ガッツ・びーと西)とボランティアグループ サポート西(以下、サポート西)の連携により、支援の受け手と考えられている障害のある方々が活動の担い手となり、地域の課題解決を進めている実践をご紹介します。
地域共生社会とは
地域共生社会とは「制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」としています。

【掲載】地域共生社会のポータルサイト|厚生労働省
障害のある方が活動の担い手に
ガッツ・びーと西の阿部所長に活動のきっかけをお伺いしました。
「西区社協のボランティアセンター運営委員会で、サポート西のメンバーの高齢化と担い手不足の課題が話題となり、ガッツ・びーと西でもメンバーが公園清掃の活動をしているので、西区ボランティアセンターにサポート西を繋いでもらい、実際の現場に2回見学に行きました。
1回目は職員のみで、2回目は活動予定のメンバーと一緒に行き、2回目の時には少し一緒に活動してもらいました。実際の現場を見て、庭木の剪定や草刈り時に出た木や枝や草を集める作業があり、その作業をメンバーにお願いする形で活動内容が決まりました。」
「活動場所が屋外であるため、公園清掃をしているメンバーの中で、体力がある人等を含めて声掛けしました。集まった枝や草は袋に入れると重たいので、その袋を運べるメンバーに声掛けし、安田さんや菅野さん(下記写真)などがこころよく活動に参加いただきました。」

左から、安田さん・菅野さん・阿部所長
実際の活動では
「令和5年から活動が始まり、年間で10回ほど対応しています。庭木の剪定の依頼は7月~10月になり、活動が夏場に集中します。今年は特に暑かったこともあり、実際の活動は10月に入ってから行いました。依頼がある地域は山坂がある所が多いため、10時頃にガッツ・びーと西を出発し、現場へは車で向かっています。ご自宅の駐車場や近隣のパーキングを利用しています。
サポート西の代表でもある瀬口さんと一緒に活動することが多く、安田さんも菅野さんも瀬口さんとはとても仲良しです。また、サポート西の活動メンバーとして扱っていただいたり(謝金も含め)、毎年依頼される方も多いので、去年の場所を覚えていて、本人達が安心して活動が出来、かつ、本人達の励みになっていると感じています。(阿部所長より)」

庭での作業時には長袖を着用

軍手はガッツ・びーとから持参
安田さんにお話しを伺いました
安田さんは、この活動が始まった最初から関わっているメンバーでもあり、実際に活動してみて思ったことをお伺いしました。
「外は暑かった。 軍手もしてやった。 帰ってきてシャワーも浴びた。 大変だったことはあまりない。 休憩もある。 お茶も持って行っている。 帽子も持って行っている。 タオルも持って行っている。 長袖を着ている(ジャンパー)。 軍手とかかばんに入れている。」とお話しいただきました。
また、これからも活動を続けてくれますか?と聞いたところ、「やる気まんまんです。これからも行きます!。」と元気よく答えてくれました。

安田さん
菅野さんにお話しを伺いました
菅野さんは、途中からこの活動に参加されたため、不安に思ったことや良かったことをお伺いしました。
「安田さんがやっていたので加わった。 結構たいへんだった、暑いし。 色々なお家に行ってできること、そこでのお手伝いができることが良かった。」とお話しいただきました。安田さんと同様に、これからも活動を続けてくれますか?を聞いたところ、「できるだけ行けたらと思います。」と答えてくれました。

菅野さん
支援者が集まる機会で活動の発表を
西区内の支援機関が集まった「地域センター会議」でも、ガッツ・びーと西の活動を職員と安田さんが発表されました。
当日は、職員が安田さんに質問しお話してもらう形で実践内容を伝え、安田さんはグループの話し合いの中にも参加されたとのことです。
安田さんに、当日のことを伺うと、「緊張した!」と笑顔で話してくれました。
支援者として感じていること
阿部所長より、障害のある方々を支援する立場としてお話しをいただきました。
「本人達が活動できる環境を作るためにも、こちら側から伝えていくことは大切にしています。なかなかこちら側の状況を知ってもらえる機会もないため、地域の中で障害のある方がどう暮らしていけるか、そこの部分も大切にしています。また、支援されるだけでなく、どう出来ることを増やしていけるか、本人達への支援の一つとして考えています。今回の活動は地域の課題に対し、メンバーの特徴や普段の様子などもふまえた上でマッチングができ、サポート西にとっても本人達にとってもWin-Winな関係が築けていると感じています。」
サポート西にもお話しを伺いました
サポート西の代表でもある、瀬口さんに西区社協の会議室でお話しをお伺いました。
「サポート西は、平成15年から始まった活動で、最初のメンバーで残っているのは私だけで、メンバーの高齢化や担い手不足の課題があります。現在動けるメンバーは7~8人程度で、最近入ってきてくれたメンバーもいます。サポート西は、庭木の剪定や草刈り、ご自宅の小修繕の依頼を受けて活動をしている。ガッツ・びーと西の方々には、庭木の剪定や草刈りの活動にご協力いただき、とても助かっています。」

【サポート西のチラシ】
他のメンバーと同じように関わっている
障害のある方々との関わりの中で、気にかけている点などをお伺いすると、
「他のメンバーと同じように、普通の関わり方で、同じ扱いとしています。特別な対応は、特にしていないと思います。また、職員の方が一緒ということも始められた要因であり、不安は少なかったと感じています。本人達とのコミュニケーションは問題ないですし、手が空いている時には自発的に動いてくれているので、とても助かっています。」とお答えいただきました。
他のメンバーの方の様子もお伺いすると、
「サポート西のメンバーの中でも、他の活動で障害者への付き添いをしている方など、これまで障害のある方々との関わりを持ってボランティア活動をしている方もいるため、スムーズに動けたと思っています。」とお答えいただきました。
ヒントがあれば、他の活動の可能性も
瀬口さんからは、その他にも色々とお話しをいただきました。
「ガッツ・びーと西の方々は、ヒントをあげれば、色々なことが出来るのではと感じています。上手く伝えられれば何でもできる可能性がある方々です。例えば小修繕であれば、網戸を外して掃除することや、障子をはがす作業等の役割分担が出来れば、色々とご協力いただける内容は増えてくると思っています。一方で、土日の活動はできない等の制限もあり、依頼先が限られてくるため、彼らの活動を十分に調整出来ていない現状もあります。」
「草刈り等は集めて袋に入れる作業が一番大変です。その作業を率先してやってもらっていて、Win-Winの関係性であると思っています。ボランティアであるため、出来ないことは多いですが、出来ることはみんなで一生懸命にやっています。プロではないため、気軽にやっている部分で、今回の活動は上手くまわっているのではと感じています。」
「とても馴染んできている印象があります。安田さんは皆勤賞です。最初は様子見なところもありましたが、よそよそしさはなくなり、関係性はとても良くなっています。
サポート西としても、ハードルは高くなく、気楽な気持ちで、みんなで関われることを大切にし、これからも活動を続けて行ければと思っています。」

代表の瀬口さん
担い手となるためには
障害のある方々が、地域活動の担い手となるためには、活動先の団体が一緒の仲間として受入してくれることが大切だと改めて感じました。
阿部所長と瀬口さんのお二人の方から、「Win-Win」という言葉があり、お互いに出来ることを補い、それぞれが担える役割をどう作っていけるか、今回の実践事例にはその答えが沢山詰まっていると感じました。
横浜市内の地域活動で、このような実践が広がるように、引き続きこうした取組を発信していきたいと思います。
