障害特性に合わせた図書等の充実に向けて
障害者団体等から、「特別支援学校や養護学校において、障害特性に合わせた図書(デイジー図書や拡大写本等)の充実を求められているが、予算面から本の整備ができていない」との声をいただきました。
その声に基づき、本会では寄付を活用した取組にて、障害特性に合わせた図書等の充実を支援することにしました。
※デイジーとは、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためのアクシブルな電子書籍の国際標準規格として、50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表しています。(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会HPより)
市内の特別支援学校等へ「障害特性に合わせた図書等」を配布
本会では寄付金を活用した取組として、令和4年度より3年間で、横浜市内の養護学校・特別支援学校の計30校を対象に、1校当たり10万円の予算で各校の希望する図書や情報機器の配布を行っています。
令和4年度は、横浜市立の特別支援学校の計13校を対象に各校の希望する品物(デイジー関連機器、デイジー図書CD、図書館用品(書架等)、図書、DVD、IT関連機器等)を配布しました。
授業の様子を見学させていただきました!
13校のうち、横浜市ろう特別支援学校及び北綱島特別支援学校を訪問し、配布した支援品を活用した授業の様子を見学させていただきました。
①横浜市立ろう特別支援学校
(想い)
聴覚障害の児童生徒に字幕付きのDVDソフトを鑑賞できるスペースを、図書館内に設けてあげたい。
(支援内容)
液晶テレビ、DVDプレイヤー、DVDソフト
(授業の様子)
小学部・中学部・高等部の児童・生徒が利用する図書館の一角に、新しく50インチの液晶テレビとDVD ・ブルーレイプレーヤーが置かれたスペースが完成しました。
先生による説明の後、「スイミー」(教科書にも載っているお話で、躍動感のある魚の動きを表現した字幕付きの映像作品)という作品をお子さんたちがイキイキと、楽しそうに視聴していました。
②横浜市立北綱島特別支援学校
(想い)
図書室にデイジー図書をインストールしたiPadをひとつ置き、児童生徒がいつでも楽しめるようにしてあげたい。
また、書架やパネルシアターなど、図書室の設備を整えてあげたい。
(支援内容)
デイジー図書CD、iPad、パネルシアター、キャスター付スチール書架
(授業の様子)
高学年の児童がデイジー図書の「だるまさんが」という作品を鑑賞していました。
お子さんたちの反応は様々ですが、再生速度や色、字幕の有無、画面との位置などを調整すると、作品をより身近に感じることができるようです。
お子さんの興味が深まるように、先生方が工夫して声かけしていたのが印象的でした。
デイジー図書を使ってわかりやすい表現で伝えることで、障害の重いお子さんも知る楽しさや喜びを得られることができ、よい取組だと感じました。
学校からのコメントをいただきました
・「図書室にある本を映像化したものを子どもたちに見せたかった。授業に活用していきます。」
・図書室のiPadにはデイジー図書を楽しめる無料アプリ「のじぎく」がインストールされ、自由に楽しめるようになっていました。「デイジー教科書は学校に無償で配布されますが、デイジー図書CDは有料。また、拡大本など障害に配慮した図書は割高で、学校が希望する品物をいただける、このような機会はありがたい。いただいた物を活用していきます。」