取組に至った経緯
本会では、寄付を活用した支援事業(ヨコ寄付)として令和3年11月より高等教育への進学を希望するひとり親世帯の高校生を対象に学習支援事業を実施しています。(学習支援事業についてはこちら)
参加者の保護者へアンケート調査を行ったところ、要件を満たせば授業料等減免と給付型奨学金を受けることができる「修学支援新制度(文部科学省)」について「知らない」という回答が目立ちました。
ひとり親世帯の子どもの高等教育への進学率は全世帯の統計と比較すると低い状況であるが、金銭面な不安から「進学」という選択肢が持てないのではないか。
また、家庭事情によって親との意識に齟齬が生じ、子ども自身は高等教育への進学を希望しながらも、諦めざるを得ない状況もあるかもしれないと考えました。
上記を踏まえ、ひとり親世帯への支援の一環として、制度や実際の大学生活を知ることで「進学」という選択肢を持てるように「高等教育の修学支援新制度及び学生生活を学ぶ会」を実施(R4年度)しました。
市内大学及び横浜市母子寡婦福祉会と連携し実施
事業の企画及び周知については横浜市母子寡婦福祉会と連携して行い、当日は29名の方にご参加をいただきました。
内訳:ひとり親世帯20組26名(うち、高校生6名)、支援者3名
当日の講師は関東学院大学にご協力をいただき、高等教育の修学支援新制度についてを同大学社会学部現代社会学科の西村教授にご説明いただきました。
また、より進学へのイメージが具体的に持てるよう、大学での学生生活等についてを同大学の現役大学生2名にお話しいただきました。
当日のご感想~アンケートより~
・修学支援新制度について詳しく解説してくださったのでわかりやすかったです。4月から高3なので良いタイミングで受講できて助かりました。進路に対する不安が解消できたので、心強く感じました。
・インターネットで色々調べていた事を再認識できました。分かりやすく講義していただき、娘も大学進学の資金面の不安を少しは払拭でき、モチベーションも上がったと思います。
・子供と参加しました。大学生の先輩方の話が参考になりました。成績も大切だとわかり、子供と共有できてよかった。
・実際の大学生のお子さんの声を聞けて、とても参考になりました。こんな時間の過ごし方をするのだなと学校の事を知れてよかったです。奨学金のお話も大変参参考になりました。知らなかったことが多々ありましたので、とても勉強になりました。
今後に向けて
今回の取組において、進学に向けて新たな選択肢があることを知るきっかけを提供することができました。
修学支援新制度については高校での成績も重要になることから、中学生を養育する世帯にも同様に制度や学生生活についてを知っていただく機会が作れたらと思います。
また、当日お話いただいた学生から「自身も母子家庭で育ち、進学に向けて親とお金のことを話し合った」との話がありました。
家庭内ではなかなかお金のことを話しにくいと思いますが、自身の目標や希望を家庭内で話し合うきっかけになればと感じました。
事後アンケートでは、やはり「学費に対する不安」や「学力に対する不安」の声が目立ちました。
今後も横浜市母子寡婦福祉会と連携し、学習機会の提供だけでなく、制度や支援の仕組み等についての説明会を実施し、少しでも「進学」への不安や疑問を解消できるように取り組んでいきたいと思います。