令和3年度から実施
本会(児童福祉部会)では、児童養護施設等を退所する児童及び退所した児童の退所後の自分らしく生き生きとした暮らしを支援することを目的に、令和3年度より各施設を通して支援が必要な児童に1人当たり最大で30万円の支援金をお渡しています。
社会的な養護が必要な児童は家族に頼れない状況から、退所後も施設を頼って相談することも少なくありません。
施設側も出来る限り退所後の支援に力を入れていますが、お金がかかる支援はなかなか難しい現状があり、本事業が始まりました。
支援対象の条件として
下記の3つの条件を設定し、制度やサービスの狭間にある課題に対し、寄付金を活用した独自の事業として実施しています。
①退所予定または退所した23才までの児童(23才の年度末まで申請可)
②アフターケアを行うもののうち、他助成金等の対象にならない支援
③退所生の自立支援につながるもの(恒常的な支援ではなく、一時的なもの)
令和6年度は22件の支援を行いました
22件の割合は、下記の図をご覧ください。
最も多いのが、児童養護施設出身者で11名となりました。
申請の割合は、過去の年度と大きく変わらない状況です。
支援の内容として
内訳は下記の図をご覧ください。
就職先で自動車免許の所持が求められている理由から、運転免許の取得が6件で最も多く、次に転居費用が5件となりました。
その他には、成人式の着物レンタル代等の支援がありました。
申請の背景として
本事業の申請された背景(理由)の一部をご紹介します。
・既に内定が出ており、現在は国家試験に向けて勉強を続けている。就職先で車の運転が必要であるが、免許を所持していない。両親からの援助は見込めず自ら生計を立てているが、免許費用を捻出することが難しいため、本助成を利用したい。
・退所後独り暮らしをしているが、不審者が出没し安全が脅かされたために転居することになり、転居費用として活用したい。
・生活困窮の中、支援を受けつつ子育てを頑張っている。子どもの保育園への入園が決まり、本人も就労したいという気持ちが強くあるため、支援をしていきたい。
・当該児童は現在、親元を離れて一人暮らしを目標にしてバイトをしている。成人式に向け、晴着を着るための資金助成を申し入れたい。
支援を受けた児童からの声
本事業の支援を受けた児童からの感謝のメッセージ等をご紹介します。
・自動車免許を取得し、正社員として働きたいと思っています。今後、家族ができたときに、家族と車で出かけることを楽しみにしています。
・旧居に住んでいた時は、心身ともに不安に日々を送っていましたが、転居後は部屋の家具を選んだりすることが毎日とても楽しく安らかに過ごせています。支援金につきましては、大切に使わせていただきました。この度は本当にありがとうございました。
・ご支援いただきありがとうございました。ご支援のおかげで目標達成への道をまた一歩進むことができました。
★当事業の詳細やその他のメッセージについては、令和6年度報告書よりご確認いただけます。
令和6年度児童養護施設等 退所時チャレンジ・退所後再チャレンジ支援事業報告書
多くのご支援によって
本事業は、多くの方々(企業や個人等)からのご支援によって実施することができています。
「横浜幸銀信用組合様」「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ様」より、本事業の推進のために本会へご寄付をいただきました。
また、令和6年度は本事業に共感をいただいた方からの遺贈寄付(お亡くなりになられた方の財産をご寄付いただく)がありました。
誠にありがとうございます。

【贈呈式】横浜幸銀信用組合にて

【贈呈式】横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
井苅児童福祉部会長より
本事業はタイトルの通り、退所後に向けた様々なチャレンジを支援すること、そして、退所後に様々な課題を抱えて、マイナスな状態になってしまった子達を0(ゼロ)に戻すことができる、再チャレンジ支援事業となります。
本人達の夢や希望に向けてチャレンジを後押しする支援は充実しつつあります。しかし、失敗をしてしまった子がやり直すための支援はありません。
本事業があることで、児童養護施設等を退所した子ども達が困った時に各施設に相談してもらい、本人達と一緒にもう一度生活を立て直すができるようになりました。
本当にありがとうございます。
引き続きのご支援、何卒よろしくお願いします。