これまでの福祉教育の課題・・・
本会では、学校や地域、企業等の皆様からの依頼を受け、福祉を自分事として考えていただくために「福祉教育(啓発)」に取り組んでいます。
これまでの福祉教育のプログラムは当事者による講話や車いす体験・白杖体験などの疑似体験が一般的でした。
しかし、それだけでは当事者の「できないこと」が強調されてしまい、一方通行の理解になってしまう可能性があります。
実際、参加者からの感想は「かわいそう」、「障害がなくて良かった」なども多く、社協が本来目指している福祉教育の目標を達成できていない実態がありました。
地域共生社会を実現していく新たな福祉教育を
そこで、本会は令和4年度から市内の小学生を対象に、障害当事者との出会いの場を創出し、共通の体験を通して、同じ目線に立った双方向でのコミュニケーションや気づきを促すことを目的に当事業を実施しています。
地域には様々な方が暮らしていることを知り、障害の有無に限らず、相手を想う気持ちを育んでもらいたいと考えています。
市内の障害者地域作業所へプログラムを募集
お菓子や工芸品、アクセサリーなどの自主製品づくりや、余暇活動として行っているボッチャやダンス、太鼓などのレクリエーションなど、日頃から障害者地域作業所にて利用者さんが行っていることを交流プログラムにて募集しました。
令和4年度のモデル実施を経て、令和5年度は10団体、令和6年度は8団体からプログラムの応募がありました。
また、参加される子ども達については、施設と地域の子ども達が身近なところで交流を持つ機会を作るため、プログラムを提供する施設の所在エリアの地域ケアプラザに協力いただいています。
令和5年度の取組実績
令和5年度は8プログラム(2プログラムは中止)が実施され、合計189名(内訳:子ども 61名.当事者 60名 引率者・支援者 68名)が参加しました。
各プログラム、初めは緊張感がありましたが、プログラムを通じて次第に和やかな雰囲気になっていました。
お互いを名前で呼び合ったり、利用者さんと積極的に関わろうとする子どもの姿を見ることができました。
また、利用者さんが子ども達にやり方を教えたり、なかには企画から当日の進行のすべてを利用者さんが行ったプログラムもあり、相互に役割を持ち、「支え手」「受け手」という関係を超えて支え合うという「地域共生社会」の実現に向けて非常に意味のある取組になっています。
○感想をご紹介します!
(小学生)
・○○さん(利用者さん)と一緒にクッキーが作れて楽しかった!
・交流ができて良かった、また遊びに来たい!
(利用者さん)
・教えるのが楽しかった!
(施設職員)
・お菓子作りを通し、子ども達と利用者が楽しみを共有しながら交流を深めることができたことは何よりも障害理解の場となったのではないかと思います。
・利用者さんは普段、支援されることが多いが、教えるという経験ができて良かった。
・小学生が利用者と共に作品制作に取り組む中で、名前で呼び合う様子が見られ、このプログラムの意義を感じた。
今後に向けて
横浜市社協では、「お互いさま」の地域社会の実現に向けて、高齢者や障害者など当事者の方々の力も借りながら、学校や地域における福祉教育を推進しています。
今後も、自分の住むまちの福祉活動や、地域で暮らす当事者の想いを知る機会を設けることで地域の皆様と一緒に誰もが住みやすい地域づくりに取り組んでいきたいと思います。